中国の政治戦
「戦わずして勝とう」とする国への対抗戦略 原書: POLITICAL Warafare
書評掲載情報
2023-05-26 | 月刊Hanada 2023年5月26日 月刊Hanadaプラス 評者: 梶原麻衣子 |
2023-05-26 | 月刊Hanada 2023年5月26日 月刊Hanada |
紹介
日本よ、これでいいのか?政治戦はすでに始まっている!あなたは、この超大国とどう対峙しますか?
一帯一路構想のあくなき追及、日本の領海・領空に対する侵犯…。中国の政治戦に関する考え方と、中国の政治戦が引き起こしている米国および各国の国内・外の安全保障体制・態勢を大きく揺るがす弊害を、実例をあげて分析する。
前書きなど
中華人民共和国(中国)すなわち習近平と中国共産党は、組織化し体系化したあらゆる正・不正の方法・手段を用いて自分たちの覇権拡大を追及し、自分たちが支配・統制できる他国や国際機関等はもとより地域・海域を拡大しつつある。その拡大の事実は、一帯一路構想のあくなき追及とその構想の甘言に乗せられている国々の出現、海洋進出の実例である南シナ海における人工島建設と軍事基地化による同海域の領海化活動、我が国の尖閣諸島を含む東シナ海にける中国人民解放軍海・空軍・海上民兵等による絶えざる我が国の領海・領空に対する侵犯、「一つの中国」の原則に基づく中国の軍事行動による台湾有事に直結する我が国防衛議論の高まり、またこのように悪化・緊迫しつつある安全保障環境下にあっても相変わらず続いている我が国の安全保障特に防衛(国家および国民の安全)を弱体化させる他国特に中国にへつらう一部の偏向したマスコミの報道および学者の主張ならびに政治家・経済界の態度などに表れている。これらは全て本書の題名である中華人民共和国(中国)特に中国共産党の政治戦によって引き起こされているものである。
本書は、上記の事態を引き起こしている中国の政治戦に関する考え方と、中国の政治戦が実際に引き起こしている米国および各国の国内・外の安全保障体制・態勢を大きく揺るがす弊害に関して、米国の官・民の指導者層および米国民に対して、そのことをまず深刻に認識すべきであると政府および官・民の主張および実例をあげそれらの分析に基づいて警告し、そして中国が組織的に実行している政治戦に対してとるべき戦略について提言するものであるが、我が国にとっても、冒頭で記述したように安全保障上、中国とは戦後最悪な状態にあり、我が国内外の安全保障体制・態勢を速やかに立て直し強化する上で、参考とすべき極めて価値のあるものである。
監修者序文より 一部抜粋
著者プロフィール
ケリー・K・ガーシャネック (ケリー ケー ガーシャネック) (著/文)
◆ケリー・K・ガーシャネック(Kerry K. Gershaneck) 過去3 年間、台湾の国立政治大学東アジア研究所で客員研究員を務めた。タイのタマサート大学法学部(CPG)上級研究員、オーストラリアのキャンベラ大学統治・政策分析研究所(IGPA)非常勤教授、安全保障シンクタンク日米台関係研究所(JUST)メンバー、ホノルルのグローバルリスク軽減財団(GRMF)シニアフェロー(地域安全保障・地政学動向担当)を務める。また、タイのチュラチョムクラオ王立陸軍士官学校と王立タイ海軍兵学校で、合計7 年間、特別客員教授を務めている。それ以前は、国防長官室の戦略計画者兼報道官、戦略国際問題研究所(CSIS)の太平洋フォーラムのシニアフェロー兼政府・広報部長を務める。元米海兵隊将校で、情報、防諜、特殊戦、戦闘兵器、戦略的対話に幅広い経験を持つ。ワシントンD.C. の米国情報局や東アジア・南西アジアの米国大使館に勤務した。上級公務員として10 年間、インド太平洋地域の43 か国における米国防総省の国際関係・安全保障協力活動の指揮に携わる。名誉ある防衛上級貢献メダル(Defense Superior Service Medal)と勲功章(Legion of Merit)を受章している。
政治戦、戦略的コミュニケーション、危機管理、地域安全保障、国際関係などを中心に、20 年以上にわたって大学レベルの教育経験を有する。『エウロパ・アトランティカ』(Europa Atlantica)、『ナショナル・インタレスト』(TheNational Interest)、『ディプロマット』(The Diplomat)、『ジャパン・フォワード』(Japan Forward)、『アジア・タイムズ』(Asia Times)、『先端軍事研究ジャーナル』(The Journal of Advanced Military Studies)、『グローバル・台湾ブリーフ』(The Global Taiwan Brief)、『復興崗学術ジャーナル』(Fu Hsing Kang Academic Journal)、『ネーション(バンコク)』(The Nation[Bangkok])、『海兵隊大学ジャーナル』(Marine Corps University Journal)、『プロジェクト2049 研究所』(Project 2049 Institute)、『バンコクポスト』(Bangkok Post)、『台北タイムズ』(TaipeiTimes)など多くの定期刊行物で幅広く記事を発表してきた。著書に、『中国の脅威に向けた新日米同盟』(A New Japan-U.S. Alliance to Deal with the Threatfrom China)(ロバート・D・エルドリッジ編、青林堂、2022 年6 月、https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784792607234)、『メディア戦-認知領域における台湾の戦闘』(Media Warfare: Taiwan’s Battle for the Cognitive Domain)(安全保障政策センター[The Center for Security Policy]、2021 年、https://www.amazon.co.jp/Media-Warfare-Taiwans-BattleCognitive/dp/B09HG19F8V、https://japan-forward.com/bookreview-media-warfare-taiwans-battle-for-the-cognitive-domain-by-kerry-k-gershaneck/)がある。
鬼塚 隆志 (オニヅカ タカシ) (監修)
◆鬼塚隆志(おにづか たかし)監修者序文
1949 年、鹿児島県生まれ。1972 年防衛大学校電気工学科卒(16 期)。現在、株式会社エヌ・エス・アール取締役、株式会社NTT データアドバイザー、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、公益財団法人偕行社評議員。フィンランド防衛駐在官(エストニア独立直後から同国防衛駐在官を兼務)、第12 特科連隊長兼宇都宮駐屯地司令、陸上自衛隊調査運用室長、東部方面総監部人事部長、愛知地方連絡部長、富士学校特科部長、化学学校長兼大宮駐屯地司令歴任後退官(陸将補)。単著書『小国と大国の攻防』、共著『日本の核論議はこれだ』『基本から問い直す 日本の防衛』等、共訳書『中国の進化する軍事戦略』(原書房)、『中国の情報化戦争』(原書房)、『マスキロフカ 進化するロシアの情報戦!サイバー偽装工作の具体的方法について』(監修者)(五月書房新社)、論文『高高度電磁パルス(HEMP)攻撃の脅威-喫緊の課題としての対応が必要-』、『ノモンハン事件に関する研究』、『国民の保護機能を実効性あるものとするために』等多数。
壁村 正照 (カベムラ マサテル) (翻訳)
◆壁村 正照(かべむら まさてる)
1964 年、大分県生まれ。1986 年防衛大学校電気工学科卒(30 期)、米国南カリフォルニア大学大学院電気工学修士課程卒。現在、株式会社エヌ・エス・アール研究員、株式会社NTT データアドバイザー、公益財団法人偕行社現代戦研究員。フィンランド兼エストニア防衛駐在官(外務省出向)、陸上自衛隊の第6 特科連隊長、群馬地方協力本部長、東北方面総監部情報部長、西部方面特科隊長、第15 旅団副旅団長歴任後退官(陸将補)。共訳書に『ロシアの情報兵器としての反射統制の理論-現代のロシア軍事戦略の枠組みにおける原点、進化および適用』(アンティ・ヴァサラ著、五月書房新社)がある。
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