クリック? クラック!
原書: Krik? Krak!
紹介
カリブ海を漂流する難民ボートの上で、
死体が流れゆく「虐殺の川」の岸辺で、
ニューヨークのハイチ人コミュニティで……、
女たちがつむぐ十個の「小さな物語」が地下茎のようにつながり、
ひとつの「大きな物語」を育んでいく。
「クリック?(この話、聞きたい?)」「クラック!(聞かせて!)」
―物語の始まりを告げる掛け合いの言葉とともに、
現代の〈伝承〉が生まれ出る。
全米図書賞の最終候補となり、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズなど各紙に書評され、著者の評価を確立した短編小説集(1996年)。邦訳は2001年以来の刊行となる(新装復刊)。
目次
海に眠る子どもたち
1937年
火柱
夜の女(ハイチにて)
ローズ
失われた合言葉「ピース」
永遠なる記憶
昼の女(ニューヨークにて)
カロリンの結婚式
著者プロフィール
エドウィージ・ダンティカ (エドウィージ ダンティカ) (著)
ハイチ系アメリカ人作家。1969年ハイチのポルトープランス生まれ。経済的理由で両親が先にニューヨークに移住し、12歳のときに渡米して両親と合流、以後ブルックリンのハイチ系コミュニティで育つ。修士論文をベースに書いた『息吹、まなざし、記憶』でデビュー。『クリック? クラック!』で全米図書賞最終候補、『骨狩りのとき』で全米図書賞、『愛する者たちへ、別れのとき』で全米書評家協会賞を受賞。2018年ノイシュタット国際文学賞受賞。デュバリエ独裁政権による民衆弾圧、隣国ドミニカによる虐殺などのハイチの暗い社会的記憶を、声高にではなく静謐で抒情的な筆致で描く作風が高く評価されている。
山本 伸 (ヤマモト シン) (訳)
1962年和歌山県生まれ。四日市大学環境情報学部メディアコミュニケーション専攻教授、沖縄国際大学非常勤講師。専門は英語圏カリブ文学。著書に『カリブ文学研究入門』(世界思想社)、共編に『バードイメージ―鳥のアメリカ文学』(金星堂)、『世界の黒人文学』(鷹書房弓プレス)、共著に『水声通信―ポスト・ソウルの黒人文化』(水声社)、『下からのグローバリゼーション』(新評論)など、訳書にE・ダンティカ『デュー・ブレーカー』(五月書房新社)などがある。またFMラジオ人気番組のDJという顔ももつ。
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